研究概要 |
今年度はアンフィポルス科のタイプ属Amphiporusのタイプ種であるPlanaria lactifrorea Johnston,1828のトポタイプを採集した。採集は北ウェールズのAngleseyで行った。Johnston(1828)の原記載には採集地点の詳細は述べられておらず、「英国」という事しか確かでない。このため、仮に本研究で得られた個体をネオタイプに指定した場合は、新たなタイプ産地はAngleseyということになる。 得られたサンプルの一部は、従来この類の分類学的研究において用いられてきた連続組織切片標本に調製したが、新たに開発した解析手法を用い、これまで見落とされてきた形質や形質状態を発見した。 このほか、分子系統学的研究用に固定・保存したサンプルをもとにDNA抽出・PCR・塩基配列決定を鋭意行っている。得られた系統樹の情報をもとに、最終的には形態レベルにおけるアンフィポルス科とアンフィポルス属の共有派生形質を見出すことが目的である。 このためには膨大な比較形態学的研究が必要となるが、本年度は国内において得られた標本をもとに連続組織切片標本20シリーズを作成し、それらのデジタル画像をハードディスクに記録した。現在画像ファイルの総数は1万枚を超え、ハードディスク上の容量は約30GBになろうとしている。 本年度の研究成果の一部を日本動物分類学会シンポジウムで発表し、日本動物学会誌に掲載した。
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