北海道沿岸に生育しているコンブ属(Laminaria)11種と、それらと遺伝的に近縁と考えられているトロロコンブ属(Kjellmaniella)2種およびミスジコンブ属(Cymathaere)1種において、5SrDNAの存在様式が5S unlinkedtypeであることを確かめた上で可能な限り多くの地点から採取した個体を用いて5SrDNAspacer領域の塩基配列比較を行った。その結果、これらのコンブ類は葉体表面に生じる凹凸形成の違いを反映する3つの系統群(マコンブグループ:マコンブ(ヤヤンコンブ)、ホソメコンブ、リシリコンブ、オニコンブ、エナガコンブ;ミツイシコンブグループ:ミツイシコンブ、ナガコンブ;チヂミコンブグループ:チヂミコンブ、アツバコンブ、カラフトトロロコンブ、エンドウコンブ、ガゴメ、トロロコンブ、アツバスジコンブ)に大きく分けられ、なかでもマコンブグループ内で個体間の遺伝的距離が著しく短いことが示された。また、カムチャツカ半島で採取したコンブ属およびミスジコンブ属について、rDNA internal transcribed spacer (ITS)領域とRuBisCo spacer領域の塩基配列を調べ比較ところ、ロシア極東域沿岸に広く分布する種の多くが日本産チヂミコンブグループに含まれる種と遺伝的に近いことが示された。 一方、日本産単葉状コンブのマイクロサテライトに関して、マコンブL.japonicaとホソメコンブL.religiosaを材料として、RAPD産物をもとにした領域の検出と外国産掌状コンブ(L.digitata)の結果をもとにした領域の検出を試み、これまでに2つのプローブを用いて得られた12領域のうちの3領域についてシークエンスを行った。
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