2004年9月18日〜22日に九州中部と西北部で、ヤブマオ属植物の現地調査を行い、ヤブマオ属植物11分類群を含む98点の植物を採集した。採集したヤブマオ属植物はおしば標本にすると共に、葉の一部をDNAサンプル用にシリカゲル乾燥し、また枝を挿し木して東北大学大学院理学研究科附属植物園において栽培した。 2004年5月に京都大学総合博物館(KYO)においてヤブマオ属植物等の標本調査を行った。 2005年2月20日〜24日に、中国国立植物標本館(PE)を訪問し、また2005年3月20日〜25日に、中国科学院昆明植物研究所(KUN)を訪問して、ヤブマオ属植物等の標本調査を行った。その結果、2003年度に当時東北大学の大学院生であったN.Acharyaが新種と考え、、筆者と共同で発表の準備をしている2新種のうち、Boehmeria yunnanensis N.Acharya et al.が、2003年末にFlora of China vol.5において発表されたB.conica C.J.Chen et al.と同一であることを確認した。また、もう1種のB.minuticymosa N.Acharya et al.は、それまで確認された産地は中国広東省、タイ、ミャンマー、インド、インドネシアであったが、新たに中国の広西チワン族自治区と雲南省それにベトナムに産することが明らかとなった。本種は中国ではB.platyphylla D.Donと混同されていた。また、ネパールに広く分布するが中国未記録のB.ternifolia D.Donが、チベットのネパール国境近くにわずかに産することも明らかとなった。また、同時に行ったタデ科植物の標本調査において、これまでミャンマー固有とされてきたBistorta burmanica Yonek. & H.Ohashiが中国雲南省にも産すること、B.suffulta var. suffultoides (A.J.Li) Yonek. & H.Ohashiの分布は雲南省西北部に限られ、他地域からの記録は全て同定の誤りであることが明らかとなった。
|