研究概要 |
2005年8月17日から9月3日までの約3週間,南アフリカ共和国においてカカトアルキ類の採集を行った。採集地は西ケープ州のMontagu, Biedouw, Cranwilliamなど7カ所,北ケープ州のBotterkloofなど2カ所の合わせて9カ所であり,合計4種類のカカトアルキ類を採集した(Cape Nature export permit AAA003-00027-0011)。MontaguなどではモンタギューカカトルキHemilobophasma montaguensisを43個体,BiedouwなどではビドーカカトアルキKaroophasma biedouwensisを100個体,Cranwilliamでは樹上性の未記載種を24個体,BotterkloofではボッタークルーフカカトアルキK.botterkloofensisを10個体それぞれ採集した。北ケープ州のNeuwoudtvilleではこれまでカカトアルキ類の採集記録はなかったが,おそらくK.biedouwensisと思われる種類を10個体採集することができた。採集した個体の多くは3〜4齢幼虫と成虫であったが,2齢以下の若齢幼虫も少数ながら含まれていた。これらの幼虫雌個体を解剖し,卵巣構造と卵形成過程の観察を行うとともに,組織学的研究のための試料作成を行った。卵巣型が無栄養室型であることが知られているビドーカカトアルキ以外の3種類も,卵巣小管内に栄養細胞がまったく認められず,卵巣型は無栄養室型であることが強く示唆された。また,ビドーカカトアルキとナミビアカカトアルキで報告された特徴的な卵殻のキャップ構造も共通して認められた。一方,卵巣小管数については,ビドーカカトアルキ以外の3種類ではビドーカカトアルキのように5対が基本とは限らず,むしろ6〜7対を基本としている可能性が高いことが明らかになった。
|