SCF^<Fbs1>は小胞体内において異常タンパク質の細胞外分泌や細胞内蓄積を防止するためのシステムのひとつ小胞体関連分解(ERAD)において小胞体から細胞質に逆行輸送された折りたたみ異常タンパク質をその糖鎖を認識し分解シグナルユビキチンを付加する酵素である。このようなタンパク質分解に糖鎖を利用する生体内の制御機構はこれまでにない新しいものであった。この糖鎖を利用したタンパク質分解機構の理解を目指し、これまでにSCF^<Fbs1>の糖鎖認識サブユニットであるFbs1の糖鎖認識部位の立体構造を決定したことから、複合体としての機能の理解およびFbs1ファミリータンパク質でありFbs1とは認識する糖鎖の親和性や種類が異なるFBG3、Fbx30の立体構造に基づく認識機構の理解を目指し研究を行った。 糖鎖認識機構の多様性を理解するための研究ではFBG3とFbx30の基質認識部位の発現系をFbs1で行ったのと同様に大腸菌を用いて作製し精製を試みたがFBG3、Fbx30では不溶性となった。また、様々な種類の融合タグを検討し培養、精製条件を検討したが、結晶化を行うことはできなかった。そのため、FBG3ではSCFユビキチンリガーゼ複合体形成時にアダプターの役割を果たすサブユニットであるSkp1との複合体の共発現系を作製し、Skp1-FBG3複合体で培養を行い可溶性画分としてタンパク質を得た。さらにSkp1-FBG3は複数のカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、SDS-PAGEより十分な純度であることを確認した。現在この精製票品を用いSkp1-FBG3の結晶化を行っている。
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