糖鎖の硫酸化は、増殖因子との相互作用など、生理活性の制御に重要である。本研究は新規硫酸基転移酵素様遺伝子が関与する生命現象のマウス培養細胞を用いた評価モデル系の構築、並びにかかるモデルに声ける硫酸化糖鎖の作用点`作用機序の解明を目指す。 1.マウスにおける相同遺伝子の取得 既に取得していたヒト遺伝子(未発表)のマウスにおける相同遺伝子をRT-PCR法によりクローニングした。 2.組換えタンパク質の調製と抗体開発 組換えタンパク質を大量発現・精製し抗体を作成する予定であったが、発現量が極めて低く抗体作成に十分な量の組替えタンパク質は得られなかった。当該タンパク質の細胞表面への異所性発現等、代案を検討している。 3.当該遺伝子産物の発現パターンの解析 リアルタイムPCR法を用いてマウス各種組織における転写産物の発現を調べたところ、脳での発現が高い事が判明した。遺伝子のより詳細な発現パターンの解析を目指してマウス脳の組織切片をin situハイブリダイゼーション法によって解析したが、遺伝子産物の発現量が極めて低く、発現パターンを同定するには至らなかった。 4.適当心細胞株における当該遺伝子の強制発現と、これにより硫酸化亢進を示す糖鎖担体の同定 マウス神経芽腫細胞株に上記遺伝子を強制発現したが、親株と比較して増殖性・形態上の明確な変化は認められなかった。現在より適切な細胞株及び評価系を模索している。本酵素により硫酸化される糖鎖担体に関しては、リコンビナント酵素タンパク質を用いて脳ホモジネートに[35S]硫酸を導入し、酵素消化などにより検討中である。
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