昨年度の当該研究において、ERAはミトコンドリアに局在するGTP結合タンパク質であることが判明した。そこで、本年度はミトコンドリアにおけるERA複合体の同定および昨年度に引き続いてERA欠損マウスの作製を行った。 1、ERAを含むタンパク質複合体の精製およびその構成因子の同定 FlagおよびHisを付加したERAの安定発現HeLa細胞株を樹立し、その細胞からミトコンドリア粗抽出液を調整した。その後、抗Flag抗体を用いた免疫沈降、Niレジンを用いたアフィニティ精製を行うことで、高精製度のERAタンパク質複合体を得ることに成功した。さらに、その複合体をSDS-PAGEで分離し 複数の複合体構成分子由来のバンドを検出したのち、ゲルよりそれら構成分子を単離し MALDI-TOF-TOF/MSを用いた質量分析を行うことで、ERA複合体構成因子の同定に成功した。その結果、ERAはミトコンドリアでのタンパク質合成や細胞死制御に関与する因子と複合体を形成していることが判明した。 2、ERA欠損マウスの作製 昨年度、マウスERAゲノムのクローニングを行った。本年度は、Cre-loxP systemを用いたERA遺伝子のコンディショナルターゲッティングベクターを作製した。作製したターゲッティングベクターをマウスES細胞に導入し相同性組み換えを起こさせ、ERAヘテロ欠損ES細胞の樹立に成功した。現在、樹立したES細胞を用いてキメラマウスの作製を行っている。
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