平成17年度はスフィンゴ脂質分解酵素の発現調節機構の解析を計画していた。 これまでの研究から緑膿菌セラミダーゼは緑膿菌をスフィンゴミエリン含有培地で培養したときにそのセラミダーゼ活性が増加することを突き止めていた。そこで、緑膿菌セラミダーゼの発現機構を明らかにするために、まずスフィンゴミエリンを含む培地と含まない培地で緑膿菌を培養し、そこからtotalRNAを抽出し、RT-PCRにより半定量的にセラミダーゼmRNA量を測定した。その結果、スフィンゴミエリンを加えた培地で培養するとセラミダーゼmRNAが有意に増加していた。これは培地に加えたスフィンゴミエリンもしくはその分解産物がセラミダーゼの転写を活性化していることを示しており非常に興味深い。また、同様にして回収した緑膿菌の培養上清中のタンパク質を抗緑膿菌セラミダーゼ抗体を用いたウエスタンブロットにより解析したところ、スフィンゴミエリンを加えて培養した培養上清中でセラミダーゼタンパク質の発現が増加していることも確認された。次に、スフィンゴ脂質に応答して発現する遺伝子を探索する為に、緑膿菌のゲノムDNAを部分分解し、クロラムフェニコール耐性遺伝子の上流に組み込んだプラスミドライブラリーを作製し、大腸菌を形質転換した後でスフィンゴミエリンを大量に含むヒツジ赤血球平板に塗布し、クロラムフェニコール耐性になるコロニーを得た。さらに、これらコロニーの中からスフィンゴミエリンに応答して増殖するコロニーを同定した。 昨年から引き続き行っている結核菌セラミダーゼに関しては、大腸菌を用いた大量調製系の構築に成功し、1Lの培養液当たり2mgの精製タンパク質を得ることに成功し、基質特異性などの詳しい性質を調べた。
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