研究課題
前年度に確立したシグナル伝達型の成分の濃度の時間的ゆらぎに関する基礎理論を用いて、細胞性粘菌の走化性シグナル伝達型におけるゆらぎの問題を理論的に考察した(出版準備中)。これは、走化性シグナルが反応のイズによって制限されているという考え方の元で、シグナルの「質」を定量化したものである。シグナル強度を変えていくとシグナルの質も変化する。細胞性粘菌の実験によって得られたパラメータを用いると、シグナルの質の変化は、走化性の精度を測定した実験結果に良く合致した。これは、実際のシグナル伝達型がノイズによって制限されていることを間接的に示している。また、複数のタンパク質や遺伝子が互いに協調して働いて、システムとしてどのように構造・形態形成や機能発現が実現しているかを理解することはこれからの生物学の大きな課題である。そのためには、比較的小規模のネットワークを理解して、さらに、複数の小規模ネットワークがクロストークによって協同的に働いてより規模の大きいネットワークの機能を理解していく、というのが一つの方法であろう。本研究では、フィードフォーワードループと呼ばれる比較的小規模のネットワークのクロストークによって、時間的に一過性の応答や空間的にストライプパタンを形成するネットワークの基礎理論を確立した。これによって、発生のパタン形成やシグナル伝達型の応答のある種の現象をネットワークの観点から統一的に理解することができるようになる。
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