本研究では、分裂酵母の減数分裂を制御する分子機構の解明を目標として、分裂酵母の減数分裂の開始と進行に必須のRNA結合タンパク質Mei2pの機能解析を行っている。Mei2pと相互作用する因子を同定するために、減数分裂期の分裂酵母よりMei2pを大量精製する系の確立を試みた。非常に不安定なMei2pを効率よく得るため、proteasomeサブユニットの変異体を用い、TAP(tandem affinity purification)tagを利用して精製を行った。Mei2pと同時に精製されてくるタンパク質を質量分析により同定した。その結果、Mei2pが分裂酵母のheat shock protein 70(hsp70)homologと相互作用していることが明らかとなった。現在hsp70 homologの減数分裂における役割、Mei2pとの関係を解析中である。また、Mei2pと共に精製されてきたhsp70 homolog以外の因子についても解析中である。 これまでの解析よりMei2pの下流に減数分裂特異的なRNA安定化機構が存在することが示されている。この制御に必要なcis配列を減数分裂特異的に発現誘導される遺伝子群から見いだし、DSR配列(DeStabilizing Reigon)と名付けた。また、DSR配列に直接結合し、DSRをもつ減数分裂特異的なmRNAを体細胞期に不安定化させる因子Mmi1pを同定した。現在Mmi1pについて、Mei2pとの関連を中心に解析を行っている。 Mei2pの局在を制御するRNA分子meiRNAの欠失変異体は、Mei2pが核内で点状に局在できず減数分裂不能となる。Mei2pの核内点状構造体の役割を明らかにするため、meiRNA欠失に対する抑圧変異体の探索を行い、複数の抑圧変異体を得た。
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