研究課題
昆虫細胞内で全ヒトRNAポリメラーゼII (RNAPII)サブユニット(RPB1〜12)を発現させるため、各々が1〜3種のRPBを発現する組み換えバキュロウイルス5種を作成した。これらウイルスの感染により、昆虫細胞内で各RPBが同時に発現することがわかった。また、各RPBに対する特異的抗体を作成し、これらが特異的に各RPBを認識することを確認した。これら感染細胞と抗体を用いて、再構成RNAPIIの精製法の構築を行った。組み換えRNAPII発現昆虫細胞抽出液を、DE52カラムとゲル濾過カラムにより粗精製し、非特定鋳型からの転写活性を解析した。その結果、組み換えRNAPII特異的な転写活性を検出した。そこで、RNAPIIをより純度の高いレベルに精製するため、アフィニティークロマトグラフィーを含む方法により精製を行った。その結果、再構成転写系において活性を有するRNAPIIを精製できなかった。解析を進めた結果、昆虫細胞内でRNAPIIが効率よく形成されておらず、凝集したり、一部のRPBが欠落したりした異常なRNAPIIが優位に存在することが明らかとなった。それ故、多段階のカラムクロマトグラフィー法を経た後に、純度が高く活性を有するRNAPIIを大量に効率よく精製できない可能性が示唆された。そこで、単一細胞内においてすべてのRPBがより効率的に共発現し、かつ効率的にRNAPIIの形成を促進することを目的として、バキュロウイルスの再構築をおこなった。具体的には、より少ない種類のバキュロウイルスですべてのRPBを発現し、かつRNAPIIの3次元的構造をふまえたRPB構成からなるウイルスを作成した。その結果、計3種類のバキュロウイルスの共感染によりすべてのRPBを発現する事に成功した。これまで1種のバキュロウイルスで4〜8種類の組み換えタンパク質を同時発現させる報告がないことからも、以上の結果は方法論的にも新たな知見を提供している。現在、作成した新たなバキュロウイルスを用いて発現させたRNAPIIの精製を行っている。
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