LRK-1はシナプス小胞蛋白質SNB-1(VAMP2の線虫ホモログ)の局在を制御する新規キナーゼである。これまでの解析から、このキナーゼはSNB-1がUNC-104キネシン依存的輸送経路に特異的に選別されることに必要であり、LRK-1が欠失すると本来SNB-1を輸送しないはずの輸送経路にも選別されることから、ER/ゴルジ体において機能していると予想されていた。今年度は、LRK-1の局在と生物的活性におけるドメインの役割について検証した。LRK-1の細胞内局在について、LRK-1にGFPを融合した遺伝子を線虫に発現させることにより検証したところ、ER/ゴルジ体と思われる領域に局在しているのが観察された。このことから、LRK-1はER/ゴルジ体において機能すると考えられる。また、LRK-1にはアンキリンリピート、ロイシンリッチリピート、Ras-likeドメインおよびキナーゼドメインの4つの主なドメインが存在することがわかっている。今年度は、それらのうちキナーゼドメインがLRK-1のSNB-1の局在制御に必須であるかどうかについて検証した。具体的には、LRK-1遺伝子のキナーゼドメインに変異を導入し、そのキナーゼ活性が失われたものを作成し、それを線虫lrk-1変異体に導入して、変異体でみられる表現型を抑圧するかどうか調べた。その結果、キナーゼドメインに変異を導入したものでは表現型の回復は見られなかった。従って、LRK-1の機能には、そのキナーゼ活性が必要であることが示唆された。
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