研究概要 |
Nucleosome Assembly Protein 1(Nap1)は、試験管内でヌクレオソーム形成を促進する因子として、ヒトHeLa細胞抽出液から同定された。NAP1遺伝子は、酵母からヒトまで広く保存されており、重要な働きを担っていると予想されるが、実際にどのような機能を果たしているかは不明な点が多い。出芽酵母Nap1は、細胞周期の分裂(M)期の進行に重要な役割を担っていると考えられている。出芽酵母には、4種類の分裂期サイクリンClb1,Clb2,Clb3,Clb4が存在し、Nap1は、Clb2と直接結合する。また、4種類のM期サイクリン遺伝子のうち、CLB2以外の3つのサイクリン遺伝子を破壊しても、出芽酵母は、正常に生育するが、さらにNAP1遺伝子を破壊した出芽酵母株では、分裂期の進行が遅れる結果、非常に伸びた形態を示すとともに温度感受性を示すようになる。私は、出芽酵母NAP1のこのような表現型をもとに、表現型を抑止する多コピーサプレッサーの同定を行った。これまでに、約10,000個の形質変換体を得た。その中に、非許容温度で増殖可能であり、かつ形態が丸く戻っている約40のクローンを得ている。それらの中には、NAP1やM期サイクリンを含んだクローンが含まれていることを、PCRによって確認した。現在、NAP1やM期サイクリン以外の遺伝子に関して、遺伝子領域の同定を進めている。
|