研究概要 |
1.肺原基における、左右非対称なFgf10の発現制御 まず、マウスとヒト、ニワトリのFgf10遺伝子の周辺で保存されている領域を探索した。その結果,Fgf10の5'側領域に4カ所、イントロンに7カ所、5'側領域に2カ所の保存領域を発見した。 さらに、種間で保存された領域を含む2種類のBACにレポーター遺伝子としてLacZを挿入したコンストラクトを作製し、トランスジェニックマウスの手法を用いて、肺原基におけるエンハンサーを探索した。その結果、肺原基におけるエンハンサーがFgf10のイントロンもしくは3'側に存在する事を明らかにした。 現在、Fgf10の肺原基のエンハンサーをLacZに結合したトランスジーンの、発生過程における発現変化を観察している。 2.Pitx2の下流遺伝子のスクリーニング まず、受精後9日目のPitx2 ASE(左右非対称なエンハンサー)欠損マウス胚と野生型マウス胚からRNAを抽出した。それぞれ約20胚から集めたRNAを1ロットとし、計2ロットずつ集めた。これらのRNAを使用し、マイクロアレイ(Codelink)を利用して、20000遺伝子の発現量を調べた。RNA論のロット別に実験を行い、Pitx2 ASE欠損マウス胚と野生型胚で発現量の差に再現性が認められる遺伝子を探索した。その結果,マイクロアレイで発現量に1.4倍以上差があった遺伝子41個を抽出した。現在、この41個の遺伝子について、Whole-mount in situ hybridizationによりマウス胚における発現様式を観察している。 また、胚の左側の細胞だけを集めて、同様のスクリーニングを行うために、ASEを使って胚の左側の細胞のみでVenus(YFP variant)を発現させるトランスジーンを持つマウスを作製した。
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