研究概要 |
本年度は,親導入RNAi法による遺伝子機能スクリーニングの系の確立を目的とし,試験的に小規模スクリーニングを行った.コオロギ初期胚cDNAライブラリーを用いたESTプロジェクトによりこれまでに得られているクローンよりランダムに96クローンを選抜し,その一部について親導入RNAiによる機能解析を行った,その結果,卵形成や,前後軸形成に関与すると考えられる遺伝子を同定することができ,コオロギでの遺伝子機能スクリーニングの系がほぼ確立できたと考えられる.個々の遺伝子のさらに詳しい解析,およびより大規模なスクリーニングに向けた準備を行っている. 一方,ショウジョウバエの前後軸パターン形成に関与する遺伝子のコオロギホモログについて親導入RNAi法による機能解析を行った.それにより,caudal, hunchback, Kruppel, even-skipped等の遺伝子の,コオロギ胚の体節形成過程における役割を明らかにした.caudalが顎から後部末端にかけての領域のパターン形成に必要であること,hunchbackおよびKruppelがペアルール遺伝子やHox遺伝子の制御を通じて体節形成をコントロールしていること,even-skippedがペアルール遺伝子として機能していることなどがわかった.さらに,Notch, Delta遺伝子が,コオロギではショウジョウバエとは異なり体節形成に関与する可能性を示唆する結果を得た.
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