ホタル上科およびコメツキムシ科について、それぞれ18SrRNA遺伝子と28SrRNA遺伝子を用いた分子系統解析を行なった。その結果、18SrRNAでは進化速度のバラツキが若干みられたものの、おおむね理想的な解析結果が得られた。特に、ジョウカイボン科で国内に産する4亜科の系統関係を明確に示すことができた。28SrRNAは、コメツキムシ科内に関して進化速度の違いや飽和の問題は生じていない。また、ヒカリコメツキを入手して解析に加えることができた。その結果、ヒカリコメツキがサビキコリに近縁であることが支持された。これらの結果は、幾つかの研究会において発表した。 ゲンジボタル幼虫全体よりマイコプラズマの単離を試みた。ペニシリン存在下の液体培地中でマイコプラズマの増幅には成功したが、寒天プレート上でのコロニーの単離および、培養液中にルシフェリンの生合成を示唆する物質を特定するには至っていない。今後、培養条件の更なる検討が必要であると思われる。 Genetic enzymologyを指向したルシフェラーゼキメラタンパクの作成を行なった。Cドメインをショウジョウバエのルシフェラーゼホモログ(CG6178)と交換したキメラをPCRにより作出し、その酵素活性の測定を行なった。その結果、このキメラタンパクに有為な発光が認められ、その活性はNドメインのみのときに比べ1000倍以上であった。また、長鎖脂肪酸に対するコエンザイムAエステル化活性も確認された。これらの情報をもとに、Cドメインのポイントミューテーション解析を行ない、Cドメインにおける発光活性を規定するアミノ酸部位の特定を進める予定である。
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