北オーストラリア株とインドネシア株間の交雑により無性生殖化した胞子体40個体あまりを継代培養したが、F2およびF3世代でも有性生殖器官を形成することなく、四分胞子による繁殖を繰り返した。このことから、遺伝子型の異なる有性生殖株間の交雑によって誘導される無性生殖化は再現性があり、一過性のものではないことが明らかになった。 アメリカのフロリダ州およびサウスカロライナ州、ギアナ、メキシコ太平洋岸、インド、オーストラリアのクックタウン、マレーシアからC. leprieuriiの無性生殖株が、また南オーストラリアからはC.vieillardiiの無性生殖株が単離されているため、これらのヘテロ接合性を調査した。紅藻のアクチン遺伝子の5'末端付近に100塩基強のイントロンが介在していることがわかっているため、イントロンを含む約1000塩基の遺伝子配列を決定したところ、少なくともフロリダ、サウスカロライナ、ギアナ、インド、クックタウンのC. leprieurii無性生殖株は2種類以上の遺伝子型を含んでいることが示された。反対に、インドのC. leprieurii無性生殖株と南オーストラリアのC.vieillardii無性生殖株はホモ接合体であった。以上のことから、天然でも遺伝子型の異なる有性生殖株間の交雑によって無性生殖化が誘導されている可能性があることと、それ以外にも無性化が誘導される仕組みが存在する可能性があることが示唆された。
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