研究課題
本研究の目的は、微細な行動連関に注目することで、ヒトに最も近縁なチンパンジーの社会交渉における規則性を抽出することである。そしてそのような規則性が社会的に形成されている可能性を検討する。とくにチンパンジーが日常的におこなう毛づくろい行動における身ぶり行動の連鎖に注目して調査をおこなっている。前年までに引き続き、年度前半はDVビデオデータ解析による行動の基礎データの作成をおこなうとともに本研究と関連の深い諸研究のレヴュー、関連著書の書評などの執筆をおこなった。平成17年8月20日から12月12日までの間、タンザニア共和国西部、タンガニイカ湖東岸にあるマハレ山塊国立公園に生息する野生チンパンジーMグループを対象として野外調査をおこなった。このグループには、約60頭のチンパンジー個体がおり、全個体に名前がつけられ識別されており、観察者に非常に慣れているため、ほぼ終日の個体追跡が可能であり、詳細な行動の観察をすることができる。この野外調査で得たデータは現在分析中である。また、調査期間中に、新しくメスの移入が確認された。通常新しいメスは臆病なため観察は難しいが、移入直後の数日間詳細な観察をすることができた。異なる集団では、社会交渉における規則性にも違いが見られる可能性があるため、この観察は非常に重要である。ここまでに得られた予備的結果は、日本アフリカ学会(5月)、日本霊長類学会(7月)、国際シンポジウム(7月)、国際哺乳類学会(8月)、ホミニゼーション研究会(3月)などで口頭発表をおこなった。
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Primates (印刷中)
Primates 47(1)
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霊長類研究 21(1)
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Pan Afr News 12(2)
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