研究概要 |
本年度は農村環境における竹林拡大の特徴を明らかにするために、植生図の空間解析を竹林とそれ以外の植生・土地利用との隣接部に適用し,その概況を把握した。調査地は陸域としての単位性が明確な島嶼生態系として淡路島を対象とした。地質,地形は北部と南部では大きく異なっているため、三原平野と洲本川を境界として淡路島北部と南部に区分し、竹林分布の概観を行った。調査方法は兵庫植生研究会が2001年に作成した5万分の1現存植生図(兵庫植生研究会2001)をベクターデータ化したものをラスター変換し、竹林およびその隣接する部分の抽出を行った。淡路島における竹林の現況を面積および総パッチ数により比較した結果、北部が南部を大きく上回っていた。また、竹林と隣接する植生はコナラ群落、水田、ウバメガシ-ハゼノキ群落、果樹園が多くを占めていた。これらの結果から水田や果樹園など農業活動の強弱が今後の竹林拡大に大きく影響している可能性が示唆され、前年度に衛星データ解析から明らかにした耕作放棄水田マップと竹林拡大マップの関連解析が必要であると考察された。また、次年度以降の詳細な解析に用いるために、高解像度商用衛星データ等の各種リモートセンシングデータを収集するとともに、その予備的解析を行った。その結果、竹林は春先5月〜6月にもっとも特徴的な分光反射特性を示すことが明らかになった。ここでは当該対象地域のQuickBirdやSPOTデータを収集しており、これらを利用して、竹林分布の時系列変動を詳細に把握し、その隣接関係や農業活動等との関連性を明らかにしていく予定である。
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