本研究は、都市のヒートアイランドの緩和に有効な緑地の計画を扱った研究である。広域的な都市環境情報を解析するのに有用なランドサットデータを用い、ヒートアイランドの緩和に有効な緑地形態、すなわち種類、規模、分布形状について明らかにし、ヒートアイランドの緩和に資する緑地の配置計画の手法を提示、特にシミュレーション手法の開発を目的とした。そこで世界のどの地域のデータも入手可能でありシミュレーションの提示ができる人工衛星によるリモートセンシングの有用性をいかし、急速な都市開発による都市環境問題が引き起こされているアジア地域を対象として研究を遂行した。本研究は事例研究による実証的研究の方法をとっていることから、本年度はソウル市、北京市、上海市、バンコク市、マニラ市を事例としてランドサットデータを入手し、画像解析を行い緑地分布図と地表面温度分布図を作成した。5つの都市の緑地分布図と地表面温度分布図との比較から、各都市に見られる特性を明らかにした。特に北京市では内陸に位置することから水辺が少なく、さらには河川の断流がみられ、他の都市に比べて緑地の減少が著しい。 今後5つの都市におけるランドサットデータによる地表面温度と緑地分布との関係を解析し、ヒートアイランドの緩和に有効な緑地形態について検討し、緑地分布と地表面温度との関係を解析し、緑地形態による地表面温度推定手法を検討したい。その検討の結果から得られた地表面温度推定式から計画した緑地によるヒートアイランドの変化をシミュレーションの形で提示し、アジア地域におけるランドサットデータをベースとしたヒートアイランドの緩和に資する緑地の配置計画手法を提案したい。
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