H17年度は、H16年度に引き続き二次的自然環境の保全・管理に関する施策に関わる行政資料をなどへの調査出張により収集し、二次的自然環境の保全に対する考え方について行政官やNPO等に対するヒアリングもおこなった。また、H16年度に平地林、里山、谷津田等を中心とした二次的自然環境の写真の撮影・収集をおこなった結果を整理し、里山などの二次的自然の管理活動、あるいはレクリエーション等の活動に頻繁に参加している学生・社会人、およびあまり参加経験のない学生・社会人の計290名の被験者に対して心理実験・アンケート調査をおこなった。 その後、生活域の自然環境の質(生自環境)と自然体験の量、および自然環境に対する関心度、自然環境に対する価値観(自然観)について、120名の被験者の回答をもとに共分散構造分析をおこない、個人的背景的要因(生自環境、自然体験の量)と行動や評価に関係するとおもわれる態度的要因(関心度、自然観)との関係性について明らかにした。その結果、たとえば10代後半まで、主に自然環境が豊かな地方で生活した人は現在自然に触れる機会が多いと感じ、自然環境に対して関心が高いのに対し、主に自然環境に乏しい都会で生活した人は現在触れる機会が少ないと感じ、自然環境に対して関心が低くなる可能性がある。 また、過去に地方に住んでいたが、現在は都会で生活する人は、人間中心的側面が高く、自然環境に対して無関心となる傾向がある。反対に、過去に都会で生活し、現在は地方で生活する人は人間中心的側面が低く、自然環境に対して関心が高い。また、野外で遊んだ頻度が多かったが現在触れる機会が少ない人は自然環境に対して無関心になる傾向があり、一方、「野外で遊んだ頻度」が少なかったが「現在触れる機会」が多いと感じている人は、反対に関心が高くなることが示唆された。 また、研究成果の一部を第57回日本林学会関東支部大会発表論文集、中部森林研究54号、ランドスケープ研究69号、環境情報科学論文集19号などに投稿し、論文の掲載が決定している。
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