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2004 年度 実績報告書

植物病原性卵菌の感染時シグナル伝達系における一酸化窒素(NO)の影響に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16780028
研究機関北海道大学

研究代表者

崎浜 靖子  北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10344491)

キーワード一酸化窒素(NO) / 一酸化窒素合成酵素(NOS) / Aphanomyces cochlioides / 植物病原菌 / 卵菌類 / Phytophthora sojae / 遊走子 / シグナル伝達
研究概要

植物病原性卵菌Aphanomyces cochlioidesは、宿主植物感染時に遊泳能力を持った遊走子を形成する。その遊走子は、宿主植物に含まれる特異的シグナル物質に応答し、被嚢化や被嚢胞子の発芽等の形態変化を起こすことが分かっている。遊走子の被嚢化は物理的・化学的刺激によっても引き起こされるが、誘引物質が存在しない場合には発芽に至らず感染は起こらない。しかし、遊走子を一酸化窒素(NO)発生試薬で処理した場合には、誘引物質が存在しなくても発芽が起こることが見いだされた。また、今回ほ乳類の一酸化窒素合成酵素(NOS)の基質であるアルギニンを加えたときにも発芽が促進さることが観察された。更に、被嚢胞子の発芽はNOSの阻害剤であるL-NAMEでは促進されなかったことから、遊走子の形態変化にはほ乳類型NOS依存性のNO生成が関与していることが示唆された。A.cochlioidesと同じ卵菌類であるダイズ病原菌Phytophthora sojaeの遊走子もNO及びアルギニンに対し同様の応答を見せたことから、この応答は遊走子を作る卵菌類に共通の機構である可能性が高い。
昨年秋に完成したPhytophthoraゲノムデータベースを用いNOS様遺伝子を検索したところ、12の遺伝子モデルにNOSにみられるドメインが見つかった。そのうち最も類似性の高かった遺伝子(PsNOS, estExt_fgeneshl_pg.C_660103)産物のNO生成能及び生化学的特性を調べる為に発現ベクターへのクローニング及び発現酵素の精製を進めている。
遊走子の被嚢化とそれに続く被嚢胞子の発芽は宿主植物への感染成立を左右する重要なステップであるがその分子機構は明らかではない。本研究課題の遂行によって卵菌類におけるNOSの存在またNOに依存した発芽促進機構の存在が示唆され、今後の実験を進める上で重要な知見を得ることができた。

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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