研究概要 |
カンキツグリーニング病は主に東南アジアにおいて、カンキツ産業に大きな被害をもたらしている。我が国でも沖縄県や鹿児島県島嶼部での発生が確認されており、早急な防除対策の強化が課題となっている。そこで本課題では、病原細菌・Candidatus Liberibacter asiaticusのゲノム解析のために、実験条件の把握と基礎的知見の蓄積に取り組む。本年度は、昨年度に精製されたニチニチソウ罹病成葉からの病原細菌濃縮画分を用いて、新規ゲノムクローンの取得に取り組んだ。 まず濃縮画分の全DNAを抽出し、Cand.L.asiaticusの16S rDNAとニチニチソウ葉緑体のrbcL遺伝子をそれぞれ指標として、段階希釈テンプレートを用いた簡易定量PCRを行った。そして病原細菌濃度がもっとも濃いサンプルを用い、φ29ファージDNAポリメラーゼを用いたゲノムDNA増幅を行い、プラスミドベクターへランダムクローニングを行った。このうち、約1,000クローンの塩基配列をM13(-20)プライマーによって端読みし、BLAST検索によって遺伝子コード領域の機能推定を行い、またα-プロテオバクテリア由来の配列に分類されるクローンを選抜した。さらに決定された塩基配列情報を用いてプライマーを作成し、罹病植物DNAをテンプレートとした時のみPCR陽性となるクローンを選抜し、これらを病原細菌ゲノム由来の新規クローンとして単離した。
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