1)今年度は、これまでに重金属集積能力がほとんど検定されていない植物のカドミウムおよびヒ素集積能力を水耕条件で調査した。処理濃度はいずれの元素も10mg/Lとした。その結果、インディアンマスタードが最もよくカドミウムを集積したが、アマランサス、ヒメスイバ、オオイタドリといった植物種も集積能力が高かった。これら3種は短期間でバイオマスが大きくなるため、土壌浄化に有効である可能性が高い。ヒ素に関しては、プテリス以外は高い集積能力は認められなかった。次年度は土耕条件で集積能を検討し、土壌浄化試験にも着手する予定。 2)重金属集積土壌微生物を研究することにより、重金属集積能を強化した組換え植物創出への貢献や、根圏の重金属濃度を低減するなどの成果が期待できる。重金属集積能が高いことが予想される好熱菌、Bacillus midousuji SH2B-J3株を1mMのカドミウムを含む培地で1時間培養したところ、カドミウム含有率は100μg/gに達した。次年度は菌体内へのカドミウムの取り込みや、温度条件の検討などを行う予定。 3)カドミウム汚染土壌中にゼオライトあるいは鉄粉を加えることによりイネのカドミウム吸収がどのような影響を受けるかをたん水条件で調べた。ゼオライトあるいは鉄粉を加えることにより、イネのカドミウム吸収は減少した。ゼオライトの場合はカドミウムの吸着、鉄粉の場合はカドミウムの還元による不活性化が原因と推察された。次年度は適正な添加量と効果の持続性を調べる予定である。 4)植物の超金属集積能を研究するモデルとして、アルミニウムに着目し、アルミニウム集積植物であるMelastoma malabathricumのAl集積機構を調べた。その結果、M.malabathricumのAl集積には、体内での輸送に関わるクエン酸を合成する酵素の活性化が重要であることが明らかにされた。
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