1)昨年度の水耕実験では、インディアンマスタード、オオイタドリ、およびアマランサスがカドミウムを地上部に多く集積することが示されたが、本年度は土耕実験における評価を行った。その結果、水耕で最も多くカドミウムを集積したインディアンマスタードの集積能は土耕では低く、アマランサスとオオイタドリは土耕でも高い集積能を持つことが明らかにされた。 2)昨年度の結果より、カドミウム汚染土壌への零価鉄の添加が植物のカドミウム集積の低減に有効であることが示唆された。本年度は実際の汚染レベルに近い土壌を用い、零価鉄添加量を少なくした栽培実験を行った。その結果、低レベル汚染土壌に少量の零価鉄を添加した場合であっても、同様の効果が得られることが明らかにされた。来年度はさらに広範囲の汚染レベルに対応できる実験を行う予定である。なお、本件の研究結果をもとに特許を出願した。 3)重金属集積能が高いことが予想される好熱菌、Geobacillus midousuji SH2B-J3株の耐性をG.midousuji SH2B-J2株およびG.stearothermophilusと寒天培地および液体培地で比較したところ、G.midousuji J3株の耐性が他の二種と比べ著しく強いことがわかった。本菌は65℃が至適培養温度であるが、50℃でもある程度生育し(65℃の30%程度)、25℃では全く生育しなかった。一方、体内へのカドミウムの取り込みは50℃では認められず65℃でのみ検出され、その温度依存性が明らかにされた。 4)102科、387種の植物葉に含まれる元素を網羅的に分析したデータベースを構築した。その系統学的および統計学的解析の結果、カドミウムと亜鉛の集積には正の相関があり、いずれもイイギリ科とリョウブ科に集積植物が認められた。興味深いことにシダ植物には様々な重金属を集積する種が多かった。
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