研究課題
1)昨年度までの実験で、インディアンマスタードとアマランサスは水耕条件では地上部に同程度カドミウムを集積するが、土耕条件ではインディアンマスタードの集積能力はアマランサスと比べて著しく劣ることがわかった。本年度の研究から、この土耕における異なる集積能力は根から分泌される主要な有機酸の種類が関与していることが示唆された。すなわち、アマランサスは不溶性カドミウムを可溶化する能力の高いクエン酸を分泌する一方、インディアンマスタードは可溶化能の低いシュウ酸が分泌性有機酸の主体であった。インディアンマスタード、アマランサスともにカドミウム以外の重金属も超集積する傾向があり、様々な重金属に汚染された土壌のファイトレメディエーションに利用可能であることが示唆された。2)昨年度までの実験で、カドミウム汚染土壌への零価鉄添加が植物のカドミウム集積低減に有効である事がわかった。本年度はその低減メカニズムを土壌化学的手法により解明した。カドミウムで汚染した水田土壌に零価鉄を添加することにより、土壌中のカドミウムは、植物に吸収されやすい交換態などの形態が減少し、吸収されにくい吸蔵態画分が増加することが明かとなった。3)鉱山跡地に生育する野生植物の根圏より採取した土壌から、カドミウム耐性細菌を分離した。分離した細菌をイネ幼植物体の根に塗布し、カドミウム汚染土壌で無菌栽培したところ、塗布しなかったコントロールと比較して大きく生育が改善された。
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