1.各種重金属汚染土壌における超集積植物によるファイトレメディエーションの浄化能評価 本年度は、超集積植物を用いたポット試験を実施した。供試植物としては極めてCd集積能が高いとして知られるアブラナ科グンバイナズナ属(Thlaspi caerulescens)を、供試土壌としては日本の代表的な土壌である沖積土と黒ボク土のCdで5ppmに汚染されたものをそれぞれ用い、4ヶ月間栽培試験を行った。その結果、地上部バイオマスは、沖積土で5.7ton/ha相当量と黒ボク土1.5ton/haの3倍程度となった。地上部Cd濃度は土壌によらず100ppmを上回り、極めて高濃度に集積しうることが確認された。さらにCd吸収量は、沖積土で766gCd/ha、黒ボク土で222gCd/ha相当量となり、土壌中のCdの28%、13%が除去された。従って、日本のCd汚染土壌に対してもThlaspi caerulescnesを用いたファイトレメディエーションは現実的な対策になり得ることが実証された。 2.根圏・根域土壌におけるCd可給度ならびに植物Cd吸収量に及ぼす各種土壌管理の影響評価に基づく効率的なファイトレメディエーションのための合理的土壌管理技術の確立 従来得られた知見とも合わせて結果を解析した結果、土壌pHが低く(5以上)、土性が粗く、可給態Cd量が多いほど、浄化効率は高いことが明らかとなった。さらに、栽培方法として2ヶ月を2回行った処理と4ヶ月を1回行った処理を比較したところ、2ヶ月を2回行った処理の浄化効率の方が50%程度高く、根域を拡げる意味でも植替え頻度を高めることが浄化効率の向上につながることも示された。次年度は以上の結果を踏まえ、現場の圃場環境の下でのグンバイナズナの浄化効率をいくつかの条件で明らかにする予定である。
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