研究課題
Bacillus cereus由来のアルカリD-ペプチダーゼはフェニルアラニンのオリゴペプチドにD-立体選択的に作用するエンドペプチダーゼであり、その一次構造は細菌由来のβ-ラクタマーゼやD-立体選択的アミノペプチダーゼと相同性を有するユニークな酵素である。本研究ではラセミ体の光学分割やD-アミノ酸含有ペプチドの合成にしか利用されてこなかったD-立体選択的加水分解酵素の新たな活用法を開拓するため、Substrate mimeticsとよばれる擬似基質を用いたペプチド合成に本酵素を応用することを目的とした。B. cereus由来のアルカリD-ペプチダーゼ遺伝子は申請者らにより既にクローニングされている。この遺伝子を組み込んだ発現プラスミドを作製し、大腸菌における大量発現を検討した。酵素精製を容易にするため、His-tag等との融合たんぱく質としての発現も検討した。次いで、各種クロマトグラフィーの手法及び、FPLC等を用いて組換え大腸菌からアルカリD-ペプチダーゼを単一に精製した。一方、ドイツ、マックスプランク研究所のフランク・ボルドゥサ博士らの協力を得て、酵素法によるペプチド合成のためのアシル供与体(擬似基質)及びアシル受容体を化学合成した。精製したアルカリD-ペプチダーゼを用いてペプチド合成を検討した。既に、アルカリD-ペプチダーゼ遺伝子近傍に発見しているアルカリD-ペプチダーゼ相同タンパク質遺伝子を組換え大腸菌にて発現させた。本相同タンパク質もペプチド合成に応用することを目的として、組換え大腸菌から酵素精製を行った。
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Eur.J.Biochem. 271
ページ: 1465-1475
ページ: 1580-1590
J.Indust.Microbiol.Biotechnol. (in press)
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