研究概要 |
細菌のpHおよびNa^+恒常性に重要な役割を持つマルチ遺伝子型Na^+/H^+対向輸送系(Shaシステム)の分子構造の解明を目標としている。本年度は、抗体作成を目的としたSha蛋白質の大腸菌での発現と精製、および精製蛋白質を用いたSha蛋白質間の相互作用の検討を行った。 Shaシステムを構成すると考えられる枯草菌由来の7つの遺伝子産物ShaA-Gのうち、ShaB,C,E,F,Gについて、GSTタグおよびmycエピトープタグ融合蛋白質としての大腸菌での発現系を確立した。アフィニティー精製した融合蛋白質を用いてGSTプルダウンアッセイにより蛋白質間相互作用を生化学的に検討した。その結果、ホモオリゴマー化を示唆する自身との相互作用と、ヘテロオリゴマー化を示唆する他Sha蛋白質との相互作用を検出し、Shaシステムがヘテロ多量体から形成される複合体であることが示唆された。 ShaB蛋白質については大量発現に成功し、得られた精製蛋白質を抗原として抗ShaB抗体を取得した。現在、その他のSha蛋白質についても抗原蛋白質の精製を進めている。 Shaシステムを複合体として単離するために、mycタグを付加したSha蛋白質を発現する枯草菌株を構築した。次年度では、この株の膜画分から可溶化、mycタグを標識としたアフィニティー精製によりSha複合体分離を行う予定である。またTOF-MSによるSha複合体の構成蛋白質の同定を行う。
|