研究課題
我々の以前の研究で大腸陰窩上皮間または陰窩上皮周囲に存在するリンパ球の局在がCD161とCD8で異なることを明らかにした。そこで、当該リンパ球に存在するケモカインレセプター発現の検討を行うために粘膜上皮間及びその周囲に存在するリンパ球を分離した。文献的に知られている上皮間リンパ球(IEL)及び粘膜固有層内リンパ球(LPL)の分離法を行った後の組織を組織化学的に観察したところ、IEL分離処理を行った後では陰窩周囲に存在するリンパ球は全く採取できず、むしろ文献的にはLPL画分の中に当該リンパ球が存在することができた。分離粘膜リンパ球のフローサイトメトリーを行った結果、生理的状態ではCD161^+細胞の大多数はCD8^-であり、これら二つのポピュレーションは独立であるものが殆どであることを確認した。次に、マウスの配列を元にラットケモカインレセプター発現解析用のPCR用プライマーを設計し、当該リンパ球における発現の有無を解析したところ、CCR2、CXCR4、CCR5、CCR9、CX3CR1は分離された粘膜リンパ球でも発現が確認できた。一方、ラット小腸粘膜から絨毛画分と陰窩画分を分離してケモカインリガンドの発現を調べたところ、一部のケモカインリガンドでは絨毛-陰窩間での発現が異なることが明らかになった。これは消化管上皮でも、微少な範囲でケモカインリガンドの発現が異なり、それが結果としてリンパ球のフェノタイプによる局在の原因となることを示唆している。現在、粘膜上皮側でのケモカインリガンドの発現と粘膜リンパ球でのケモカインレセプターの発現を詳細に検討中である。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 69(印刷中)
Experimental Biology and Medicine 229
ページ: 876-884