研究概要 |
1.in vitro培養細胞検定系におけるケフランケフィアの抗糖尿病活性物質の探索 糖尿病において、高血糖状態を生じる原因の一つとしてインスリン標的臓器におけるグルコース取り込み能の低下が考えられることから、脂肪細胞へのグルコース取り込みに及ぼす発酵乳ケフランケフィアの効果に関して検討を行った。その結果、ケフランケフィア水溶性画分は、インスリン刺激存在/非存在下において脂肪細胞へのグルコース取り込みを未処理の場合と比較し2倍以上に増強した。またこの効果はインスリン抵抗性状態の脂肪細胞においても確認された。ケフランケフィア水溶性画分を分子量分画したサンプルを用いてグルコース取り込み検定を行った結果、ケフランケフィア中のグルコース取り込み増強活性成分は分子量30,000以上の画分に含まれることが確認された。本活性成分はpH4.0〜10.0の範囲において安定な糖含有物質であることが確認された。 2.in vitro培養細胞検定系によるケフランケフィアDNA修復活性増強物質および抗酸化物質の探索 細胞がDNA修復を行う際に観察される不定期DNA合成(UDS)活性を指標として、培養動物細胞への紫外線照射により生じるDNA障害修復能を測定する実験系を確立した。紫外線照射後の培養動物細胞のUDS活性を検討した結果、ケフランケフィアのUDS活性増強効果を示唆する結果が得られた。また、ケフランケフィアのDNA修復関連遺伝子発現に及ぼす効果をRT-PCRにより検討したところ、紫外線照射により生ずるDNA障害の修復酵素遺伝子の発現増強が確認された。また、in vitroにおける直接的な抗酸化活性測定に基づくオンラインHPLC-DPPH法を用い、ケフランケフィア中の抗酸化活性を有する成分を分子量1,000以下に見出し単離・精製を行った。この抗酸化物質が実際に培養動物細胞内で抗酸化活性を示すことが確認された。
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