研究課題
ローヤルゼルー(RJ)中に含まれる57kDaタンパク質(ロイヤラクチン)は肝細胞に対して細胞増殖因子様作用及び抗疲労作用を示す。ロイヤラクチンの構造と肝細胞に対する生理作用との関係は未だ明らかになっていないことから、本年度は、ロイヤラクチンの構造と作用点の明確化に着手した。1,ロイヤラクチンの一次構造の決定と大腸菌発現ロイヤラクチンの細胞増殖因子様作用の解析ロイヤラクチンのcDNAのクローニングを試みたところ、ロイヤラクチンのN末端及び内部アミノ酸配列は、蜜蜂の加齢に伴い発現が変化する遺伝子である56kDa bee-milk protein (p56kP-4)の遺伝子産物のそれと同一であり、p56kP-4遺伝子産物は抗ロイヤラクチン抗体と交差したことから、ロイヤラクチンのcDNAはp56kP-4のcDNAと同一であることが分かった。ロイヤラクチンのcDNAは413アミノ酸をコードする1239bpの読み枠からなっていた。更に、大腸菌によるロイヤラクチン遺伝子産物のラット初代培養肝細胞に対する影響を検討した結果、ロイヤラクチン遺伝子産物は、RJ由来のロイヤラクチンと同様にDNA合成促進作用、抗アポトーシス作用を示し、細胞内のMAPキナーゼとプロテインキナーゼB(Akt1)を活性化していた。2,ロイヤラクチンが作用する肝細胞の受容体の同定ロイヤラクチンをリガンドとして用いたバインディングアッセイによる解析によりロイヤラクチンが作用する肝細胞の受容体の同定を試みた。その結果、ロイヤラクチンの肝細胞に対する結合は、トランスフォーミング増殖因子(TGF)-αによってのみ特異的に阻害された。TGF-αは、上皮増殖因子(EGF)受容体に作用し細胞内シグナルを活性化することから、ロイヤラクチンが作用する受容体はEGF受容体である可能性が明らかとなった。
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