ウコン色素curcuminは抗酸化性、がん予防など様々な生理活性を有するが、苦味と呈色により食品利用が制限される。curcuminは摂取後、還元型のtetrahydrocurcumin (THC)及び抱合体として血中に出現する。THCは無色無味で食品利用が期待されるが、生成機構は明らかでない。我々は腸管吸収でのcurcumin還元反応に着目し、ブタ小腸上皮のcurcumin還元酵素を解析した。また種々の酵素によるcurcumin還元の可能性を検討した。ブタ小腸上皮をCMF-PBSに懸濁摩砕し遠心上清を粗酵素液とした。curcuminは水溶性を高るためcyclodextrinで包接化し基質とした。酵素と基質に補酵素NADPHを加え37℃で1時間反応後、HPLCに供しcurcuminとTHCを分析した。ブタ小腸上皮粗酵素液によるTHC生成を確認した。市販ウマ肝臓alcohol dehydrogenase (ADH)にも同活性を認めたが、酵母ADHは活性を持たなかった。ブタ粗酵素液から部分精製を行ったところ、ADHと異なる画分に活性が検出され、この反応はEtOHにより阻害された。腸管でのcurcumin還元にはADH以外の酵素が機能すると示唆された。小腸上皮より得られた粗酵素液から酵素の精製を進め、酵素活性を高度に濃縮した。また、THCの発酵生産を目指し、各種発酵微生物を用いた還元反応を試み、微生物による還元反応においても基質のcyclodextrin包接化が有効であることを確認した。第二年度は酵素の更なる精製とアミノ酸・DNA配列の決定を行い、これを元に酵素反応、微生物生産の効率向上を目指す。
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