研究概要 |
本研究では16〜18年度にかけて,岩手大学滝沢演習林の31種の広葉樹人工林37林分を対象に,18年間の林分構造と林分材積成長量の変化特性を明らかにすることを目的とする。16年度の研究実績は以下の通りである。 1.広葉樹人工林の毎木調査を10月から滞りなく遂行するため,7月に各種消耗品を購入し,7〜8月に謝金で研究補助員を雇い,林分境界の杭打ち,植栽木と胸高直径3cm以上の侵入木の個体識別と胸高帯の塗布を行った。 2.サワグルミ人工林の林分構造と成長量を定量評価する際の対照を得るため,8月に岩泉町に出張し,サワグルミ若齢天然林の林分構造と年輪のデータを得た。これは交付申請書提出後に計画に追加した調査である。 3.上記1の作業の結果,演習林にはスズメバチ(以下,ハチ)の巣が著しく多く,ハチによる調査員の事故が危惧された。そのため,気温低下によりハチの野外活動が終息する11月中旬以降から12月末にかけて演習林で毎木調査を行った。研究補助員とともに植栽木と胸高直径3cm以上の侵入木について,胸高直径を測定した。 4.12月に,研究補助員とともに各林分から10〜30本程度の標準木を選び,樹高を測定した。 5.広葉樹林の構造と成長に関する資料収集のため,12月東京千代田区,1月東京文京区,3月仙台市に出張した。 6.調査の結果,この10年間で植栽木の本数密度が-100〜3,266本/ha(平均638本/ha)減少し,平均直径が0.26〜1.21cm/年(平均0.57cm/年)増加,平均樹高が0.08〜0.93m/年(平均0.40m/年)増加,林分材積が-2.3〜32.2m^3/ha/年(平均7.5m^3/ha/年)増加していることが分かった。なお,標準木の樹高調査時に,上記3の毎木調査ミス(枯損木や樹種の判定ミス)が一部確認されたため,研究成果の数値が17年度の補足調査で若干修正される。
|