1.スギ人工林を対象とした成果 山岳地域のスギ人工林を対象に、航空機LiDARによる観測データの解析システム(LiDAS)の開発、及びLiDASと地理情報システム(GIS)による林分内の単木認識・樹高推定・材積推定について評価を行った。その結果、単木認識に関しては、林内の80%程度の個体認識可能であり、上層木についてはほぼ完全に認識可能であることを明らかにした。次に、認識された樹木の樹高推定精度に関しては、実測との差異は1m未満であり、実測の誤差を考慮するとほぼ実測と同程度の計測精度があることを明らかにした。最後に、材積推定精度に関しては、LiDASから推定可能な樹高及び陽樹冠体積により単木材積を高精度に推定することが可能であり、認識された個体の推定値を合計すると、林分材積の80%以上を推定可能であることを明らかにした。 2.ヒノキ林を対象とした成果 スギ林と比べヒノキ林では、同じような林相においてもレーザーが地上まで到達できないことを明らかにし、その原因及び対策について検討を行った。原因については現状では詳細を明らかにするに至っていないが、多様な林相状態におけるレーザーの地上到達率と各種森林パラメータとの関係解析の結果、ヒノキ林ではレーザーの地上到達率が林分の開空度と密接な関係があることを明らかにした。加えて、ヒノキ林における問題を解決するため、殆んど地上にレーザーが到達できない場合に対応した、従来とは全く異なる新たな解析手法を開発し、林分平均樹高や各種林分パラメータ推定手法について評価を行い、その可能性を明らかにした。 3.総括 本研究の成果を利用することにより、少なくとも下層木を除く森林の状態や開空度を広域かつ高精度に把握可能であり、間伐実施状況の把握に有効な手法を提案することができたものと考えられる。
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