研究課題
1.樹木年輪の炭素同位体比は光合成時の環境に影響をうけ、過去の気候復元に用いられている。しかしながら、ある時期(季節)に光合成により同化された炭素がその後どのように樹体内に配分され、どの程度のタイムラグを持って樹木年輪に安定同位体比の変化として記録されるかについては詳しくわかっていない。本研究では一本の枝に^<13>CO_2トレーサーにより取り込ませ、炭水化物が樹幹お師部をどう流れるか理解するために、樹幹での師部流経路の解析と師部の繊維方向との関係について解析を行った。トレーサーを与えた枝の付け根のすぐ下の部分、および0.5m下の部分から円盤試料を採取し、もっとも高濃度のトレーサーが検出された部位で連続接線面切片を作成して炭素同位体比分析を行った。0m位置にあるブロックAからは早材部と晩材部両方に^<13>Cのピークが見られたが、-0.5mの位置では接線方向に異なる位置に^<13>Cのピークが見られ、師部流の経路が季節変動することが示された。2.前年の気候因子と当年に形成された年輪パラメーターとの間に相関があることが報告されているが、前年に同化された光合成産物の木部形成への利用が推察されている。ダフリアカラマツ(Larix gmelinii)の小個体全体に^<13>CO_2トレーサーを取り込ませ、成長期前半および後半に同化された光合成産物がその後どのように樹体各部に転流または貯蔵されて最終的に木部形成に利用されるかを調べた。東シベリアに生息するダフリアカラマツ12個体を、異なる季節にラベリングを行った後、1ヶ月〜3年後に伐採し、形成された年輪から連続接線面切片を切ることにより年輪中での^<13>Cの分布を詳細に調べた。春に同化された光合成産物は同化後すぐにその年の早材形成に消費されるが、夏〜秋に同化された光合成産物は同年の年輪形成だけではなく、翌年の年輪形成のためにも使われうるという傾向が見られた。
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