研究概要 |
1.マツノザイセンチュウアイソレイトの病原力の定量的評価と選択 これまでの研究過程で野外から採取されている28のマツノザイセンチュウアイソレイトを、森林総合研究所内の苗畑にある2年生のクロマツ苗木に接種した(7月)。1アイソレイトあたり30本の苗木を供試し、苗木1本に対し、5,000頭の線虫を接種した。その4ヵ月後(11月)、苗木の枯死率を調査し、各アイソレイトの病原力を判定した。その結果、苗木の枯死率は0%から93%までと幅広く、調査に用いたヤツノザイセンチュウアイソレイトの病原力は非常に多様であった。これら28アイソレイトの中から、病原力ができるだけ等段階になるようアイソレイトを選択した(枯死率0%、30%、40%、63%、80%、および93%を示したアイソレイト)。 2.人工飼料によるマツノマダラカミキリ終齢幼虫の大量生産 野外で発生したマツ枯死木を森林総合研究所構内の網室へ運搬し、そこから脱出してきたマツノマダラカミキリ成虫を採取した。得られたマツノマダラカミキリ成虫は、性成熟させるため1ヶ月間個別飼育し、その後つがいにしてマツ丸太に産卵させた。産卵させた丸太を室温で約2週間放置した後、孵化幼虫を丸太から取り出して人工飼料の入った容器へ移し、25℃の条件下で約3ヶ月間飼育した。その結果、100頭前後のマツノマダラカミキリ終齢幼虫を得ることができた。現在それらの幼虫は、10℃のインクベーター内で保管されている。
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