研究概要 |
高齢性ホルモン疾患改善効果をマンネンタケが有するかどうかを検討するために、前立腺肥大抑制効果に有効であると考えられる5α-リダクターゼ阻害活性ならびに骨粗鬆症に有効であると考えられるエストロゲン様活性について検討した。その結果、我が国で種苗登録されている19種の食用・薬用キノコのメタノール抽出物の5α-リダクターゼ阻害活性について検討したところ、マンネンタケ抽出物が、もっとも高い阻害活性を示した。そこで、去勢したラットに、テストステロンを皮下注射することにより肥大される前立腺の抑制効果について、マンネンタケの経口投与について検討した。その結果、1.5mg/kg/dayの投与量で顕著な前立腺肥大抑制効果が観察された。また、マンネンタケ粉末を餌に0.3%の濃度で、混ぜ、自由摂食させた場合においても、有意な抑制効果が観察された。そこで、テストステロンにより前立腺を肥大させるのではなく、ジヒドロテストステロンにより前立腺を肥大させたラットにマンネンタケ抽出物を投与した場合には、前立腺肥大抑制効果が観察されなかったこと。したがって、マンネンタケの前立腺肥大抑制効果は、アンドロゲン受容体アンタゴニストとしての機能よりむしろ、5α-リダクターゼ阻害活性が関与していることが推察された。そこで、5α-リダクターゼ阻害活性を指標に、活性成分の探索を行った。その結果、新規化合物を含む11種のトリテルペンが単離された。これらの単離化合物の5α-リダクターゼ阻害活性を検討したところ、ganoderic acid DM, 15(α)-hydroxy-3-oxolanosta-7,9(11),24-trien-26-oic acid,5-lanosta-7,9(11),24-triene-15α,26-dihydroxy-3-one, Tyromycic acid Gに高い阻害活性が観察され、それぞれのIC_<50>値は、10.6,8.6,41.9及び251μMであった。これらの化合物が、前立腺肥大抑制効果に関与していることが推察された。 一方、マンネンタケ抽出物は、MCF-7細胞の増殖を指標としたエストロゲン様活性検定系において顕著なエストロゲン様活性を示した。そこで、卵巣摘出ラットを用いた動物実験に供したところ、顕著な骨密度低下抑制効果を示した。
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