研究概要 |
平成16年度の検討から霊芝トリテルペノイドの前立腺肥大抑制活性が示唆された。そこで、男性ホルモン調節活性に関与する男性ホルモン活性化酵素である5α-リダクターゼの阻害活性について検討した。霊芝抽出物から18種類のラノスタン型トリテルペノイド類の単離に成功した。18種類のトリテルペノイド中の、化合物1は新規化合物であった。Mosher法を用いて、立体構造を決め、ganoderic acid TRと命名した。単離された化合物は、ganoderic acid TR(1),ganoderic acid DM(2),ganoderic acid A(3),ganoderic acid B(4),ganoderic acid C2(5),ganoderic acid D(6),ganoderic acid F(7),ganoderic acid G(8),ganoderic acid H(9),ganoderic acid I(10),ganoderenic acid A(11),5α-lanosta-7,9(11),24-triene-15α,26-dihydroxy-3-one(12),ganoderol B(13),lucidumol B(14),ganodermatriol(15),ganodermanontriol(16),ganoderiol A(17)及びganoderiol F(18)であった。1(IC_<50>=8.6μM),2(IC_<50>=10.6μM),12(IC_<50>=41.9μM)の化合物は強い5α-リダクターゼ阻害活性を示した。さらに、構造活性相関を検討するために最も高い阻害活性を示した1及び2に着目し、そのメチルエステル体19及び20を調製した。これらメチルエステル体は、低い5α-リダクターゼ阻害活性を示した。20μMの濃度において、5α-リダクターゼ阻害活性は70%(1),55%(2),5%(19)および3%(20)であった。したがって、1,2の26位のカルボキシル基(-COOH)が5α-リダクターゼ活性阻害に重要であることが示された。さらに、同様な傾向が1と12の間にも観察された。1の26位のカルボキシル基(-COOH)を12の26位の水酸基(-OH)に変更すると、5α-リダクターゼ阻害活性が減少した。以上より、ラノスタン型トリテルペノイド類のカルボキシル基が阻害活性発現に重要であることが示された。
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