研究概要 |
【背景】近年ゲノム情報を活用した効率的な育種法の確立が養殖産業において強く求められている。トラフグはゲノムドラフト配列が解読されているため,連鎖地図を利用することで,効率的な育種が可能となるが、連鎖地図の報告はこれまでない.本研究ではトラフグのゲノム全領域をカヴァーする連鎖地図を得るため,ゲノムデータベースよりマイクロサテライト配列を同定して多型マーカーを得た。次に、トラフグ分離世代のゲノムDNAを鋳型としたPCRをおこない,多型を示すマーカーの連鎖解析をおこなった.また,この遺伝地図の網羅度を検討するため,網羅度64%のミドリフグ・ゲノム物理地図と比較した. 【結果】雌雄の減数分裂における連鎖解析の結果,141個のマーカーからなる25個の雄連鎖群と148個のマーカーからなる32個の雌連鎖群を得た.遺伝距離の合計は雌雄の地図において,それぞれ,559.1cMと982.7cMであった.雌雄に共通するマーカーを用いて連鎖群を統合し,予想遺伝子3,760個を含む約34Mbpのゲノム配列情報を持つ合計23個の連鎖群を得た.用いたマーカーの約95%が連鎖を示したことから,本地図により,ほとんどの遺伝形質がマップ可能であると考えられる.また,ミドリフグゲノムと比較した結果,本地図がゲノムのほぼ全領域を網羅していることが示された.
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