研究概要 |
これまでに浜名湖口(西浜名橋下)で採集した516個体と、西神田川河口の50個体のシラスウナギの観察に基づき,その色素発達段階を新たに7つのステージに区分する方法を考案した。また,飼育実験によりこれらの色素ステージは塩分には影響されないものの,水温が高いと早く進むことが明らかになった。 浜名湖へのシラスウナギの接岸回遊生態調査も,継続して実施した。その結果、まず、浜名湖へのシラスウナギの接岸回遊は、2003年度および2004年度ともに11月から5月と比較的長い期間に及ぶことが分かった。両年度の採集結果から各調査日の採集個体数の自己相関分析を行ったところ、2003年度で32日、2004年度で30-32日の周期性が認められ、シラスウナギの加入量はほぼ新月にピークを持つ月周期で変動していることが明らかになった。さらに、24時間調査の結果を含めた各採集日の時間ごとの個体数密度を比較したところ、ほとんどのシラスウナギは夜間の上げ潮開始2-3時間後に加入することがわかった。この時間帯は高塩分,高水温の遠州灘の海水が浜名湖内に急激に流入する時間と一致していた。このことから、シラスウナギは,上げ潮によって海水が湖内へ流入する際の急激な水温変化、あるいは両水塊の何らかの差異を感知して浮上遊泳を開始し、潮汐流を利用する選択的潮汐輸送(Selective Tidal Stream Transport)により湖内へ加入するものと考えられた。 本研究により採集されたシラスウナギのうち、冷凍固定した計363個体について全長、体重、色素ステージを測定した。その結果、2003年度と2004年度の両年ともに、採集個体の色素ステージは時期が遅くなるにつれ進む傾向が認められた。
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