研究概要 |
フグのサイトカイン遺伝子群のcDNAクローニングと定量PCR系の確立: トラフグゲノムデータベースから、サイトカイン遺伝子群の配列情報を収集し、それらの部分塩基配列を基に、リンパ器官(腎臓)からRT-PCRにより一連のサイトカイン遺伝子群の単離を行った。これまでに11種類のサイトカイン遺伝子群(IL-1β,IL-2,IL-6,IL-8,IL-10,IL-12,IL-21,TNF-α,IFN-α/β,IFN-γ,TGF-β)のcDNAが単離できた。この結果、魚類にも哺乳類サイトカインと相同な遺伝子群が存在することが示唆された。また感染-発病に伴う発現動態解析を行うため、各サイトカイン遺伝子の定量PCR系の確立を試みた。まず、ウイルス感染防除に重要な働きを果たすと考えられる、IL-12、IFN-γについて定量PCR系を確立した。 フグサイトカイン遺伝子群の発現ベクターの構築と発現系の確立: 魚類サイトカインの生理機能を解析するための組換え魚類サイトカインを得るため、まずC-末端がわにHis-tagを付加したフグIL-12遺伝子を昆虫細胞用の発現ベクターに組み込んだ発現ベクターを構築した。次に、無血清培地に順化したHigh Fiveに遺伝子導入し、薬剤添加により選択を行い、導入安定株を作製した。安定株の培養上清からNi-カラムによるアフィニティクロマトグラフィーを行い、培養液中に分泌された組換えフグIL-12を濃縮・精製した。その結果、培養上清中に500ng/mLの組換えフグIL-12を産生する細胞株が得られた。
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