平成16年度は、次年度以降の研究への準備を整えることを目的として主に以下のような作業に取り組んだ。第一は、食品関連事業者における廃棄物処理・再生利用に関わるコストの計測方法の構築、廃棄物処理・再生利用の経済性・効率の計測方法の構築、堆肥などの再生利用品の価値評価方法の構築である。前者に関しては、伝統的な原価計算手法の再吟味に加えて、管理会計の新領域として昨今注目されているマテリアルフローコスト会計や環境管理会計のフレームワークの有用性に関する吟味・検証を行った。後者に関しては、食品廃棄物から再生された飼料・肥料等に対するユーザー(農業者)の評価に関する実態調査を行い、再生利用品の価値評価方法を構築するための基本的な情報・材料を収集するとともに、通常の財とは異なる財の価値評価方法をバッズの経済学に依拠しつつ検討した。また、そうした再生品の効率的な取引方法に関しても検討し、組織的取引の重要性と、取引を仲介するコーディネーターの必要性を導出した。第一の作業については、完全には練れていないものの基本的な枠組みや概念・方法は確立できており、次年度以降の実証分析の準備は一定程度整ったと判断している。平成16年度に行った第二の作業は、現実に稼動している各種の廃棄物処理・再生利用システムに関する基礎情報・データの入手である。具体的な作業内容は実態調査である。調査地域は以下のようなものである。札幌市リサイクルセンター、札幌グランドホテル、株式会社K&K、カルビー食品、有限会社青山商店、十勝管内飲食店グループ2社、同ホテル協会、北海道内の堆肥センター2ケ所、十勝管内各自治内。これら各地における調査によって、食品廃棄物の処理・再生利用システムの実態を把握し、分析に利用する情報・データを収集した。
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