研究概要 |
1.通常、廃棄物として扱われるバイオマス資源を水熱処理によりエネルギー活用するにあたり、環境へ影響を及ぼすストレス因子の設定と影響評価を行った。豆腐・油揚げ製造業から廃棄される生おからを材料に、水熱処理実証試験プラント(処理量17L、250℃)で得たデータを基にして評価した。ストレス因子として、水熱処理炭化物の灰分除去に用いられる緩衝液、副産物のろ液、電気使用に伴うC02が挙げられた。ろ液については農業利用が可能で負の影響は認められなかったが、産出量に比べ農業場面での需要が少ないため緩衝液と共に処理工程を必要とするため、今後、この工程の影響評価が必要である。 2.豆腐・油揚げ製造事業所レベル(生おから排出日量13t規模、製造工程24時間稼働)における、廃棄おからの現行2処理法(産業廃棄物処理、全量乾燥化処理3タイプ)と水熱処理の比較から、ライフサイクルアセスメント分析を適用して環境影響評価を実施した。ランニング過程におけるLCAのうち、C02排出量を評価した。水熱処理導入による電気使用に伴い、年間2,952tのC02が新たに排出されるが、重油代替分114,435tが削減されるため、差し引き111,483t分の削減効果が認められた。経済性においては、減価償却費を除くおからの処理経費(ランニングコスト)は、産廃5,058円/t、乾燥613〜2,170円/t、水熱マイナス4,370円/tであった。この差額が事業所における水熱処理装置の投資可能額の目安となると判断できた。
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