研究概要 |
本年度の研究目的は,改修整備前の現況水路における水質浄化機能の把握である。 そのために,水文環境と水質環境に関する調査を実施した。調査内容は以下のとおりである。 (1)水路内3ヵ所に堰ならびに水位計を設置し,10分間隔で水位を連続観測した。 (2)平水時の水質調査として,現況水路の下流から上流にかけて7ヵ所,さらに水路と農地の接する点の地下水6ヵ所,水路底質部分の採水6ヵ所実施した。 (3)降雨時の調査については,今年度は極めて降雨が少なく,連続観測ができなかった。 (4)水路内の窒素成分の生物吸収の状況を把握するために同位体元素をもちいた分析もおこなった(研究協力:農工研・森)。 以上の調査結果から, (1)平水時の水質環境は昨年度と大幅に異なる。特に8月以降にアンモニアの流出が少ない傾向にあった。これは降雨量が例年の半分程度であり,そのため土壌が乾燥状態にあり,硝化作用に影響がでたものと考えられる。 (2)地下水,底質部でも(1)と同様の影響がみとめられた。 (3)水路周辺の植物,小動物の窒素の同位体元素の分析から,水路周辺の植物は圃場由来の窒素成分を吸収していることが確認できた。さらにその影響範囲は水際から2m程度までは確認できた。 現在,今年度得た水位の連続データから集水域の水収支モデルの作成のため水文解析を実施している。 なお,水路の改修が10月より始まったものの予定より工期が長引いたため,次年度の調査開始が若干遅れると予測される。
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