1.日本国内調査-広島県大朝町対象集落におけるデータ収集およびデータベースの構築 本研究では、広島県大朝町A集落を調査対象地域とし、現地調査等により菜種産出量、必要エネルギー量、集落の消費電力量等、基本データを収集した。これにより、水田転作によるナタネ栽培により水田営農に必要な機械用エネルギー(A重油の代替ディーゼル燃料;BDF)が得られることが明らかになったほか、現在の水田面積に対して約2割のナタネ作付けによりエネルギー循環型農地利用が可能となるとの試算結果を得た。また、次年度におけるエネルギー資源循環型農地利用計画モデルの構築に向けて、GIS(地理情報システム)を用いて、A集落の地図をコンピューター上にベクトルデータとして入力し、水田区画の属性データ(面積、傾斜、通作距離など)を整備すると共に、これに各区画の菜種油産出量データ等を加えデータベースを構築した。 2.ドイツ調査-データおよび技術関連情報の収集 菜種油を生産し農業機械用燃料等に利用しているドイツ・ニーダーザクセン州において、農業省に対して農地利用施策に関するヒアリング調査を実施した。また、菜種油の各種機械への活用技術や燃料効率等に関するデータを収集した。さらに、特に次年度の研究に向けて、地域発電を想定した場合の発電量データを得るために、菜種油による発電を既に実施している農家を調査し、発電量データや地域内発電を実施する場合の計画条件について情報収集を実施した。これにより、ナタネを用いた農家内発電による売電が農家家計を大きく支えており、国家的な買い支えによる安定的収益性が菜の花栽培による粗放的な農地利用や、これを通じた景観形成等につながっていることがわかった。
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