1.日本国内におけるデータ収集と解析モデルの構築 広島県大朝町A集落を調査対象地域とした収集データ解析により、現在の水田面積に対して約2割のナタネ作付けによりエネルギー循環型農地利用が可能となるとの試算結果を得た。また、数値モデルを用いて検証するため、GISを用いた菜種油産出量等データベースを構築し、エネルギー循環シミュレーション実施に向けたアルゴリズムを検討した。その結果、現時点では、産出されるナタネ量や必要エネルギー量が、その年の気象条件や栽培技術により大きな影響を受けることから、全体最適となる計画モデル構築に向けては、さらなるデータの蓄積及び変動を評価しうるアルゴリズムの組み込みが必要であることがわかった。 2.ドイツにおける技術・社会システム関連情報の収集 平成16年度は、ドイツ・ニーダーザクセン州における地区・農家レベルでの現地調査を行い、菜の花によるバイオマスギー生産及びその利用実態をミクロレベルで明らかにした。これに対し、平成17年度は、ミュンヘン工科大学との連携の下、ドイツ国・EUレベルでの農業施策及びエネルギー施策について情報収集を行い、マクロレベルで農村地域エネルギー循環支援策について分析を行った。その結果、EU共通農業政策と再生可能エネルギー法の統合的運用により、エネルギー作物による減反農地利用及びその地域燃料利用システムが構築されていることを明らかにした。また、菜種油をエネルギーとして利用する農家の実態調査から、買電による追加的収入獲得や油かすの畜産利用等が農家における菜種油利用促進要因となっていることを示した。当該研究成果を2編の論文にまとめ、「農業土木学会論文集」及び「農村計画論文集」にそれぞれ発表した。
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