研究概要 |
1.作付け時期の違いによる土砂流出量の違い 春植えサトウキビの作付け時期を2月と4月として土壌流出量の違いを観測している圃場実験によると,降雨が多くなり最も上壌侵食が大きくなる梅雨時期において,2月栽培の方がサトウキビの成長が大きく,赤土流出量が小さいという報告がされている.これに対してWEPPで解析を行ったところ,定性的に観測と同様の結果を得た. 2.沈砂池の堆砂機能の評価 既存の沈砂池で降雨時の現地観測を行った結果,数回の降雨イベントでの土砂収支計算結果より,75mm以上の粗粒分はほとんどが捕捉され,75mm以下の細粒分の一部が沈砂池から流出することが明らかになった.これにより,沈砂池による浮遊土砂流出防止対策における課題点としては細粒分に対する対策が認められた.これまで,沈砂池対策による土砂流出の算定はアメリカの設計基準と沖縄での設計基準の違いからWEPPにおいて誤差が生じやすい項目であったが,本研究の結果を検討することにより修正についての新たな知見が得られるものと考える. 3.データの時系列解析による特性把握 これまで浮遊土砂流出解析モデル適用において幾つかの流域特性が認められている流域を対象に,降雨,流量,浮遊土砂濃度の自己相関,およびそれぞれ2つの時系列の相互相関を調べ,その結果からこれまでの浮遊土砂流出解析において認められている流域特性がどのように現れるかについて検討した.その結果,既往の研究において得られた対象流域の浮遊土砂流出における流域特性がスペクトル解析においても現れることが認められた.これにより,事前に観測データを分析し,対象流域の特性を大まかに把握することにより,より適切なモデルの適用が可能であると考える.WEPPモデルを用いるためのデータを準備することが難しい地域においては,パラメータ集中型のモデル適用は必要であり,その点で本成果は意義があると考える.
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