研究概要 |
本研究では,機械除草システムのための作物雑草識別を目的として,ハイパースペクトル画像解析による識別アルゴリズムの開発を行った。 作物雑草識別において既往の研究で用いられてきたRGBカラーカメラや近赤外光カメラなどと比較して,ハイパースペクトルカメラでは波長分解能の高い画像情報を取得することが可能である。しかし,こうした利点を持つ反面,一般的な画像データと比べてハイパースペクトル画像は特殊で複雑なデータ構造を持ち,データ量も膨大である。このため,画像データを解析しようとした場合,高度な情報処理手順が必要となる。 このため本研究では,作物雑草識別アルゴリズムの開発に先立って,ハイパースペクトル画像データを汎用的に処理するためのソフトウェアフレームワークを設計開発した。このソフトウェアフレームワークを利用することによってハイパースペクトル画像データの取り扱いが飛躍的に容易となり,またこのフレームワークは汎用的で拡張性の高い設計となっているので,作物雑草識別だけでなく様々なセンシング(作物生育診断,作物品質推定,土壌診断など)を目的としたデータ解析アルゴリズムを組み込んだ解析ソフトウェアを容易に構築することができる。 ソフトウェアフレームワークの設計開発と並行して,作物雑草識別アルゴリズムの開発も行った。波長スペクトル情報を利用した手法によりある程度の識別性能が得られたが,この手法に空間情報を考慮した手法を統合することによりさらなる識別性能向上が期待できる。
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