近年、青果物流通では、容器包装リサイクル法の施行や物流コスト削減の要望の高まり、ISO14001や2005年発行予定のISO22000(食品安全マネジメントシステム)の認証取得の必要性が高まっていることから、通いコンテナ(リターナブル容器)の再利用が積極的に行われている。このコンテナの再利用は、生産地からの出荷前、あるいは消費地にて青果物を陳列する前、消毒(洗浄、殺菌、脱臭等)が望まれる。しかし、コンテナの消毒を含む衛生管理は、生産地や小売店で単独で行うにはコスト面、ハード面、および作業性の煩雑さなどの問題が生じる。それに対して、最近注目されている光触媒は、光(UVA領域)照射で温度に関係なく有害物質の分解や除菌が可能であるため、生産地と消費地間の流通工程で、簡便にコンテナの殺菌に利用できる可能性を有する。 本研究では、青果物容器に利用できる材料として、アパタイト被覆二酸化チタンに着目した。ここでは、光触媒をプラスチック容器に塗布(以後、光触媒容器と略称)し、その生菌数(一般生菌数、大腸菌群数、カビ・酵母類)の変化を定量的に検討し、殺菌効果の指標とした。 一定のUVA紫外線強度、温度25℃の条件下での容器内生菌数は、容器内の生菌数は時間の経過とともに減少し、開始後短時間で検出されなくなった。このことから、光触媒プラスチック容器の殺菌(滅菌)効果が示された。また、使用した光触媒およびプラスチック容器は自己分解することなく、自己殺菌能を示すことが明らかとなった。 以上、青果物集荷場における物流前の滅菌システム開発に大きな知見と結果を得た。
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